瞬きの間に
不安なわけではないけれど。
寂しいわけでもないけれど。
ましてや、辛いことなんて何一つとして。
でも、それならなんだろう。
胸の奥にぽっかりと穴が開いたような、この気持ちは。
「だからさ、俺と北山はもうお兄ちゃん組になっちゃうんだよね!」
「あ〜そっかー…あとは光と伊野尾ちゃんだもんね」
「そうなんだよー。北山なんて、もうおっさんだわ俺ー、なんて言ってるし」
「まぁ、光達より5歳も上だしねぇ」
「そうなんだよね。でもむしろ光と伊野尾ちゃんのがしっかりしてるっていうか、俺全然お兄ちゃんじゃないんだけど」
「トッツーはそれでいいと思うよ〜」
「まぁ、引っ張るとか向いてないし!」
「うん。いいんだよ。トッツーにはトッツーらしさがあるもん」
そう言っていつものように自然な笑顔を向けてくれる塚田に、やはり自然と笑って頷いて、戸塚は両腕で抱えた膝の上にことんと顔を預けた。
そうして僅かに顔を左に傾けて、右側に座っている塚田を見る。
塚田もまた顔を右側に傾けるようにして戸塚を見た。
戸塚は何を言うでもなく、その大きな瞳をやんわりと瞬かせながら暫しそのままでいた。
一つ瞬きする度に見える世界は変わる。
けれど塚田がいることに変わりはない。
それでも色んなものがぐるぐると目まぐるしく変わる。
それは自分のすぐ周りでも。自分すらも。
一体どのくらいそうしていただろう。
けれど何度目かの瞬きの後、目の前の笑顔が僅かに目を細めた。
それに戸塚が思わず何度か続けて瞬きしたら、その度に目の前の顔が近くに見えていって。
パチン、と。
もう一度ゆっくり瞬いたのを合図にしたように、唇が触れた。
咄嗟に何も言えず再び何度も目を瞬かせる戸塚の視線の先には、やはりその笑顔があった。
でもどうしてだろう。
なんだかいつもより、どこか困ったような色がある気がした。
俺の目が変になっちゃったのかな。
だって俺、きっと今変だから。
驚きと同時にそんなことをぼんやり思っていたら、塚田の手が戸塚の癖のない黒髪にやんわり触れた。
その感触に戸塚はまた驚いた。
何気ない、いつもの、だからこそ確かに何かが埋められるような、そんな感覚。
「ダメだよ、そんな顔したら」
「・・・俺、だめな顔してた?」
「ううん。可愛い顔してた」
そんなの嘘だよ。
でもたぶん塚ちゃんが言うなら嘘じゃない。
なんだか矛盾するような、そんなことを思いつつ。
戸塚がなんだか困ったような顔をすると、またその顔が近づいてきて・・・けれど今度は触れなかった。
代わりにひっそりと内緒話をするような、そんな声で。
「そんな顔してたらね、行かせたくなくなっちゃうから」
それに戸塚が今度こそふわりと笑ったら、塚田もまた笑い返す。
そうして今度はおでことおでこがコツンと触れ合って。
「行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
END
塚戸は基本的に可愛いカプですよね。一番可愛いカプ!
・・・まぁ塚ちゃん本人の中身はアレとしても(こら!)。
傍目にはお花ちゃんカプな空気だから〜。
でもお花に見えて塚ちゃんは内面本気男前だと信じています。そりゃあもう!
まぁ若干キティに絡めてみたりして。がんばれトツ。
(2006.7.30)
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