そんなんじゃ言えない
「一体誰が好きなんですか?」
「おお、やす、今日は一段とちんまいな」
「会って一言目にそれですか!ほんま傷つくし・・・」
「ちゅーか会って一言目にソレ言うおまえもどうかと思うで」
「・・・すいません」
「わかりゃええねん。・・・で、なんやって?」
「せやからですね」
「うん」
「横山くんは一体誰が好きなんですか、て」
「誰、て」
「村上くんと、すばるくんと、あと亮と」
「あーその三人な」
「その三人です。・・・えっ、他にもおるんですか!?」
「なにがやねん」
「や、せやから、横山くんのこと好きな人が、ですよっ」
「ちゅーか、なんでおまえにそないなこと言わなあかんの?」
「えっ!・・・や、そら、気になるていう、か・・・」
「おまえに言わなあかんの?」
「え・・・や、そないなことは、ないんです、けど・・・」
「言わな俺、やすにどつかれたりすんの?」
「なななに言うてるんですか!そんなんしませんよ!」
「ほんなら言わん」
「えー・・・」
「どつかれるんは痛いからいややし、ほんなら言うけど」
「えー・・・で、でも、どつくんは・・・や、でも聞きたい、です・・・」
「・・・ちなみにおまえ、なんでそない聞きたがってんの?」
「えっ!」
「なんで俺そない驚かれてんの?あれ?言わんのおかしい?」
「や、ちゃいますよ!そんなんちゃいますけどっ。・・・えと、」
「結局なんなん。あーもーうっとうしい」
「・・・気になるから、です」
「・・・ふん、所詮はヤスダやな。あかんわこら」
「え・・・?」
「その程度しか言えへんようじゃ、まだまだあかんてことや。せやから言うたらん」
「ええーっ・・・。きみくーん・・・」
「きっしょい。こんな時ばっかきみくんとか言うなぼけ!」
「す、すいませ・・・」
「もっと修行積んで出直してこい」
「しゅ、修行ですか・・・」
「村上くんとー、すばるくんとー、あと亮とー」
「え?え??」
「・・・あと俺とー、くらい、・・・そんくらい言えるようになってから訊け、あほ」
そんなんじゃ、いつまで経っても言えへんわ。
END
メモからの再録SS。
ほんとは両思いなんだよ!ていう・・・。
安田少年が気付くのはいつなのか。周りを気にしすぎな少年。
(2006.2.5)
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