6.知りたい理由
「おはようございます・・・」
「お、裕ちゃんおはようー!・・・て、あれ?具合でも悪いん?」
「別に。なんもないですけど・・・」
「んー・・・でも顔色ようないなぁ・・・」
「あ、・・・んと、ちょお、寝不足・・・」
「あらま。ゲームでもしとったん?裕ちゃん、確かゲーム好きやねんな?」
「ん。でも昨日はしてへん」
「そうなん?・・・なら、どうかした?なんか悩み事?」
「・・・なんもないです」
「なんでもないなら、そない青い顔する理由がわからんけどね?」
「・・・なんもない」
「はぁ・・・困ったなぁ。でもそれじゃ撮影にならんねん、正直な話」
「あ・・・えと、ごめんなさい・・・」
「ええよええよ、謝ることない。ま、そういう日もあるわな。じゃ、今日はお話しよっか?」
「おはなし・・・?」
「おん。俺、裕ちゃんのこと色々聞きたいなぁ思っててん」
「そんなん聞いてどないするん?」
「どないもせんよ。俺が聞きたいだけ」
「・・・変なの」
「おっさんやからね!」
「わけわからん。おっさんわけわからん」
「裕ちゃんて兄弟とかおるん?」
「・・・弟おる」
「あ、そうなんや。名前は?今いくつなん?」
「なんでそんなん言わなあかんの・・・」
「せやからー、聞きたいからやって」
「・・・亮。15歳」
「亮くんかー。まだちっちゃいねんなぁ。あ、でも15歳言うたらちょうど高校受験とかか」
「ん。亮は、とっても賢いねん」
「そうなんや。勉強出来んねや?」
「おん。やから亮はええ高校に行って、大学行って、そんでお医者さんになんねん」
「そうなんやー。亮くんは裕ちゃんに似てんの?」
「ううん、あんま似てへん。亮は黒髪に黒目でな、天使みたいやねん。ほんまに可愛い。俺よりずっとずーっと可愛い」
「・・・そうなんや。裕ちゃんは、亮くんのこと大好きやねんな」
「大好き。やってたった一人の弟やもん。俺が頑張るから、亮は勉強に専念してほしい」
「・・・・・・」
「・・・なに?やめてや。なんで頭とか撫でられなあかんの、いきなり。わけわからんこのおっさん」
「ん?やー、裕ちゃんほんまかわええなーて思って」
「・・・わけわからん。わけわからん。俺いま亮が可愛いて言うてたのに。なんで俺やねんわけわからん」
「うんうん、亮くんも可愛いんやろなー。裕ちゃんがそう言うくらいやし」
「亮はほんまに可愛いねん」
「うんうん。でも俺には裕ちゃんがかわええよ」
「・・・わけわからん、ほんまに」
「ええねんて、わからんで。・・・お、ちょっと顔色ようなってきたかな?ほっぺに赤み差してきた。ほら、かわいいかわいい」
「連呼しすぎ。うっとうしい。ほんま・・・わけ、わからん・・・」
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