ひなまつり










「ヒナちゃんおめでとう」
「ありがとなー!・・・で、なんのお祝いです?」
「知らんとその勢いてなんやねん」
「いやおめでとう言われたら嬉しいですやん。せやから反射的にね」
「おまえのそれはすでにセキツイハンシャやな」
「横山さん難しい言葉知ってますやん。脊椎反射て」
「たっきーが」
「タキが言うてたん?」
「ヒナが先輩とかお偉いさんに会った時に『メシいきましょかー!』て言うんがそうや、って」
「あはははは!タキったら上手いこと言うなぁ〜」
「おまえ、タッキーに変な顔させんなよ」
「なにそれ。俺?」
「めっちゃ呆れ顔やった。タッキーに変な顔させんなよ男前やのに」
「なんやの。そんなん、その分俺が男前顔したりますよ横山さん」
「・・・おまえ、ええ加減自分とタッキー同列に並べんのやめろや」
「どこがちゃうねん」
「全部ちゃうわ」
「住んどるとこくらいやろ」
「タッキーはそないポジティブちゃう」
「ほんなら俺のが勝ってるわ」
「どこの勝負やねんこいつめっちゃうっとうしい」
「めっちゃ好きなくせにー」
「ああ?誰がじゃぼけぇ!」
「別にあんたが俺を、とは言うてませんけど?」
「ごっつ腹立つ・・・」
「ほんで、そんな俺のこと大好きな横山さんは、一体なんで俺を祝ってくれてんのー?」
「ポジティブゴリラがうっとうしくてしゃあない俺は、今日がそのゴリラの日やから祝ったるー言うてんねん」
「ん?今日?」
「きょう」
「誕生日やったらちょっと前に終わったで?」
「・・・おまえはたまに天然やな」
「ああ、たまに言われますわ」
「おまえ今日も誕生日やったら年に二回歳とってるやんけ」
「そら困るわ」
「二倍速でおっさんや」
「そら困るわー!」
「まぁそれで頷けるおっさん度やけどな、おまえは」
「あはは、褒めんといて」
「その返しが既におっさんや」
「そんでなんで今日ですのん?」
「今日、ひなまつりやねんて」
「ああ・・・なるほど」
「せやからヒナちゃんをお祝いすんねん」
「ほうほう。ええやん。俺お祝いしてもらえんねや」
「ええ加減『ヒナちゃん』やないけどな」
「もうええねんて、それは」
「せやからひなさまって呼んだる」
「へ?」
「ひなさま」
「様付けですか・・・?」
「おひなさま、て言うやん。ひなまつりで」
「ああ、お雛様な。言うなぁ。あのお人形さん」
「せやから」
「せやからの意味が若干わかりませんけど。それがお祝い?」
「おまえ、これがお祝い以外のなんやっちゅーねん!」
「そういうもんなん」
「そらそうやろ!この俺がおまえを様付けで呼んだるなんて!ありえへん!」
「そう言われてみるとそうかもなぁ」
「せやから今日は一日呼んだる。ひなさま」
「ようわからんけど、なんとなく響き的にはええね。様付けってちょっと王様気分よね」
「ひなさまは調子乗りやな」
「あ、ええかもそれ。ちょっとした主従プレイ気分!」
「すぐプレイやなおまえは・・・」
「ひなさまやろひなさま」
「・・・すぐ変態プレイやなひなさまは」
「変態余計やけどええね」
「そらよかったな」
「ちょおヨコ、その呼び方のまんま一発セリフ決めてや」
「はぁ?」
「そやな〜・・・どんなんええかな〜・・・ちょっと時代小説がかったんが萌えるよな〜・・・」
「おい、待てよおまえ、誰もそんなんする言うてへんぞ!」
「お祝いなんやからサービスしてや」
「・・・言わなきゃよかった」
「あ、思いついた!」
「もうにげたい」
「ええかー?ヨコ。今から俺の言うセリフをな、俺に跪いて囁く感じで言ってや」
「うわ、もう、その説明の時点でいや。サブイボ出た」
「お祝いお祝い!」
「その笑顔めっちゃいやめっちゃきしょい」
「ええか?・・・・・・って、言うてや。聞こえたやろ?」
「っ、耳元で囁くな!しかもなんやそのさっぶいの!そんなん言えるか!」
「ええやーん。言うてやー。言うてー」
「全然かわいないねん駄々こねんな!」
「あんたかわええの好きやん」
「おまえだけは却下やわ」
「ほんなら・・・言えや、侯隆」
「・・・・・・なんでおまえにそない上から来られなあかんねん!ごっつ腹立つ!」
「あ、でも今ちょっとドキーとしたやろ!やろ!」
「死ねよほんまに!」
「ええから死ぬ前に聞かせてやーそのセリフー」
「・・・なんかおごれよ」
「俺のお祝いやのに意味わからんけど、ええでー」
「・・・・・・はぁ。まず跪くってのが屈辱的やわ・・・おまえなんぞに・・・」
「ヨコみたいな鼻っ柱強い子がやるからええよね」
「笑顔でサドひけらかすんやめろ」
「はいはい、ほんで?そのまんま俺のことじーって見上げて?」
「・・・・・・ん」
「はい、じゃあ言って?」
「・・・ひなさま、あなただけをお慕いもうしゃ・・・・・・かんだ」
「ちょ、なんでそこで噛むねんー!ええとこやったのにー!」
「フカコウリョクやわ」
「あんた今度のタキとの舞台、時代劇ちゃうの・・・」
「それはそれやねん。おまえは変なこと言わせようとするからあかんねん」
「変やないやんかー。男のロマンやんかー」
「へんたいやねん。神様があかんて言うててん」
「・・・あんたが噛むんは神様があかんて言うてるからなんですか」
「あ、そや。今度からそう言おっ」
「よかったね。言い訳見つかって・・・」
「俺てんさいー」
「おめでとうございます・・・。あれ、なにこれ。俺のお祝いちゃうんか」










END






妄想メモから再録SS。ひなまつり記念小話。
きっと世のヒナサイトさんでは盛大に催されているであろうひなまつりですが、当サイトではこんなもんです。
というかもういっそ村上総攻め祭とかしたいよ勢い的には!(無理)
なんか突発でグダグダ適当に書いたらやたらと楽しかった。
やっぱ雛横のやりとりは書いてて楽しいわ〜。
最近の色んな萌え要素を突っ込んでみた。
ユウユウにひなさま、て言わせてみたかった(本能に正直に)。
(2006.9.3)






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