ひなわん
横山ヒナ。オス。雑種。生後一ヶ月。
チャームポイントは他の奴より尖った犬歯。
それとちょっとおっきめの目。
ピンととんがった耳。
将来の夢は立派な犬のおまわりさんになってヨコを養うことです。
よろしくなー！
「わんっ！」
さー今日もええ天気やでー！
散歩日和やなぁ。
はよ外行きたいな。
走りたいー。
でも、まずは朝の日課をせんとね。
「わんわんっ」
ヨコーヨコーそろそろ起きー？
朝やでー？
もうおひさま昇ってんでー。
「わんっ！」
こんもり盛り上がった布団の上にぴょんと載っかる。
その白い布団に包まれた山はもぞもぞと動いたけど、すぐさままた静かになってもうた。
この程度じゃ起きんよなぁ。
もう。
この子ね、ほんま寝起き悪いねんて。
「わんわん！」
ヨコーヨコーヨコちょー！
寝坊はあかんでー。
起きなあかんでー。
そんで散歩行こうやー。な！走ろうや！
「わんわんっ」
盛り上がった布団の上に載っかって吠えてたら、ようやく山が崩れた。
中から出てきたのはぼさぼさになったキンキラの髪と、やたらと白い顔。
でもまだ目は閉じたまんま。
むー、て眉根が寄ってもぞもぞしとる。
あとちょっとやなぁ。
「わんわんわん！」
ヨコーもう起きやー。
朝ご飯食べてお散歩行こー。
「んー・・・・・・ひなぁ・・・？」
「わん！」
ヨコおはよー！
はよ起きて顔洗ってきー？
「もー・・・ねむたい・・・うるさい・・・」
「わんわん！」
「なにぃ・・・腹へったんかぁ・・・？」
「わんわん！」
「おまえは鳴き声がでかいねん・・・ねてられへん・・・」
「わんわん！」
「うーるーさーいー・・・」
「わんわんわん！」
「うー・・・」
声のでかさは自慢やで！
ヨコを起こすのにも役に立つしなー。
やってこの子、俺がほっといたらいつまで経っても起きひんのやもん。
そしたらヨコやって困るやろ？
なー？
「んんんー・・・ひなぁ、なめるな・・・こそばい・・・」
「わう」
「んんっ・・・ちょ、んー・・・」
ほらほら、おはようのチューしたるから。
女の子みたいなぽてっとした唇にぺろぺろするん、俺好き。
やらかくてな、ちょっと甘いねん。なんでやろ？
せやからたくさん舐めたなんねん。
でもヨコもこうされんの好きやろー？
やってこそばい言うくせに、んふふって笑ってくれるやん？
「ふぅ・・・なんや、もうお散歩の時間かぁ？」
「わんっ」
のろのろとようやく起きあがって、まだ半分寝てるみたいな半開きの眼で俺をぼんやり見る。
ぱちぱちって瞬きしたり、重い瞼をこすってみたり、なんや子供みたいやねん。
この子これでももう大人やのにな。かわええよなぁ。
「おまえはいつも元気やなぁ・・・」
「わんっ！」
「んふふ、おまえはええ目覚ましになるわぁ」
「わん！」
目覚まし扱いかいな。
まぁええけどなー。
ヨコは俺がおらんと起きるんもあかんねんもん。
この子には俺がおらな！
「ふふ、なんやおまえ、その自信満々な鳴き声は。まだちっこいくせに」
でもお前、もう俺生後一ヶ月やで？
犬の成長舐めたらあかんで？
大人になんてすぐなんねんから！
「わんわんわん！」
「あーなんやなんや、もう大人のつもりか。
・・・まだええねんお前は、当分ちっこいままでおれよ。かわええから」
「うー」
「不満そうにすな」
「わん」
まぁええけどー。
ヨコはちっこいのとかかわええのが好きやからな。
当分はそんでもええわ。
どうせすぐおっきなってまうねんけど。
そしたらガッカリされそうで嫌やなー。
まぁそんならそんで大人のミリョクって奴が備わっとる予定やけどな！
「んー、おはよーヒナー」
「くーん」
「んふふー、やらかーい。おまえ触り心地ええな〜」
「わんっ」
ちゃんと目が覚めてきたんか、なんや抱っこされて頬をすり寄せられた。
うーん、至福の一時やね。
ヨコのほっぺてやらかくてすべすべやからめっちゃ気持ちええねーん。
「くーん」
「ヒナーヒナー、ヒナちゃん散歩行くかー？」
「わんっ！」
「うはは、ええお返事やー。ほんなら起きるかー」
「わんわんっ！」
よーしヨコのテンションも乗ってきたでー！
俺も乗ってきたでー！
今日も一日頑張ろなー？ヨコー。
「んんっ？おま、んー・・・ふふ、舐めるん好きやなぁ、おまえはほんまに・・・」
今度のはおはようやなくて、恋人のチューやから長めやねんで。
それに笑ってくれるヨコの顔がほんまに可愛くて好き。
うちの子かわええやろー？美人さんやしな！
俺、ほんまええお嫁さんもらったわー。えへへ。
END
妄想メモから再録ＳＳ。
一時の気の迷い。というか同人的お約束ですけども。
よこにゃんのお話はヨコ受け同盟さんに送らせていただいてるので、こっちでは逆にひなわんで（笑）。
こういうのってベタだけども楽しいよね。何がアレって、わんこでも村上なのでヨコを面倒見てるつもりなのが（笑）。
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