10.恋ってなに
「最近ますますお肌の調子ええね、ゆうちゃん。髪も綺麗やし、やり甲斐あるなー」
「うそ、ほんま?」
「ほんまほんま。なんやケアの方法変えたん?」
「んー・・・?別にー・・・なんも変えてへんでー」
「うそぉ・・・。え、未だに顔も洗うだけとか?髪洗ってもそのまんまなんっ?」
「おん。めんどいもん」
「ゆうちゃん・・・あかんよ、女の子やねんから。そろそろちょっとは気ぃ遣お?」
「やってめんどい。そんなん別にどうでもええもん」
「はぁ・・・。ほんま無頓着な子やなぁ。やっぱ若さなんかなー・・・。ええなぁ、俺なんてもうそろそろ下り坂やのに」
「しょーこさんかてきれいやんか。あ、きれいていうより、かわいい、かな」
「ゆうちゃん、お姉さん捕まえてかわいいはないわ・・・」
「やってしょーこさんはかわええもん。俺よりちっちゃいし」
「・・・お願いやから背ぇのことは言わんといて」
「あ、気にしてんねやー」
「そら気にもするわ」
「ええやんか、ちっちゃい女の子てかわええやんか。マルも言うてたでー」
「マルが・・・?」
「おん。やっさんはちっちゃいんがかわええて。言うとった」
「ふぅん・・・。そうなん。・・・ふぅん」
「あ、ちょっと嬉しいんやろっ」
「な、なに言うてんのゆうちゃんっ」
「あーやっぱなーあやしいねんなー二人ともっ」
「なにがやの・・・」
「マルちゃんとしょーこさん、絶対あやしいねんっ」
「・・・なんも怪しいことないよ。はいはい、ちゃんと前向くっ。セットができひんっ」
「いたたっ、ちょ、しょーこさんいたいわっ。丁寧にやってやっ」
「ゆうちゃんがいつもギリギリに来るから時間ないねんっ。・・・ん、でもほんま髪の調子もええね。つやつやしとる」
「んー・・・そうなんや。自分じゃようわからん」
「なんや全体的にな、綺麗になったな?ゆうちゃん」
「はぁ?きれい?しょーこさん今更おだててもなんも出ぇへんでー?」
「それこそおだてたってしゃあないやろ?ほんまやって」
「ふーん・・・?やっぱりようわからん・・・きれいとか・・・」
「そういうんは周りが先に気付くもんやねんて。・・・あ、そうや、ゆうちゃんもしかしてっ」
「んん?」
「恋でもしてるんとちゃうの?」
「はぁっ?」
「年頃の女の子が急に綺麗になる言うたら、それしかないてっ」
「・・・しょーこさん、あほちゃう」
「ちょ、あほてなんやのっ」
「あほやわ。・・・なんやねん、こい、て」
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